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 働く人は誰でも「労働者」だという話をしました。日々働くことによって賃金を得て生活する人は労働者であり、労働組合に入ったり労働組合を結成したりする権利を持っています。法律で、労働組合に入ってはいけないと決められているのは、会社の経営者や、会社の利益を代弁する立場にある人だけです。
 しかし、組合員を良く見ると、いわゆる労働者ばかりが組合に入っているわけではありません。失業している人もいます。会社を定年になって年金で暮らしている人もいます。こういった人たちは「働いている」わけではありませんが、その人たちも「労働者」と考えて活動するのが労働組合です。
 職を失った時には一定期間、失業保険が支払われます。その金額や支給期間も重要な労働条件です。ハローワークに行くなどして仕事を見つければ、失業者はまた労働者になります。また、退職金や年金の額も労働条件のひとつで、賃金から天引きされる年金保険の金額は手取り額にかかわります。それに、自分自身が失業することがあるかもしれませんし、いずれ年をとれば退職します。今はそんな自分を想像しにくくても、そばに当事者がいれば、わが身のこととして考えるきっかけになります。
 失業者やOBの人たちの希望や生活条件も視野に入れ、互いに助け合って活動していることが労働組合の強みです。いろいろな立場の人がそれぞれの仕方で参加し、自分自身の要求を実現していくことが、労働組合の幅広い活動につながるのです。

<第2章 労働組合に入ると何をするの?>

(1)組合に入れる人はどんな人?

(2)組合員の権利と義務

 さて、「組合に入ったのはいいけれど、何をすればいいの?」と思う人もいるでしょう。
 組合員の義務は、組合費を納入することに尽きると言えるでしょう。その組合費によって、会議室の賃料や、会社と交渉するときの交通費、また切手代や封筒代などがまかなわ1234れます。
そのほか、最低限の定例会議には出席することが望ましいでしょう。たとえば、年に1回「大会」が開かれたりします。会社でいえば株主総会にあたるもので、役員の改選や決算・予算の承認等があり、ここで組合の”新年”が始まります。大会は組合員全員が参加すべきものです。また日ごろの職場の状況や悩み事を報告して相談したり、近くで行われるイベントの照会があったりします。
 その他、組合では多くの対策会議、学習会、要請活動、懇親会などが行われています。それらは、興味のあること、出来る範囲のことから参加していけば、それでも構いません。一人ひとりのできることが少しずつ積み重なって集大成されたものが、全体の組合活動になるのです。しかし、せっかくの組合費をもとに運営されているものですから、自分の知識や楽しみを増やすために、積極的に活用していきたいものです。
 また、忘れてならないことは、あなたが困ったときに支援したりアドバイスしたりしてくれる人も、同じ組合員であるということです。自分が助けられたら、今度は誰かを助ける番…と互いに助け合っていくことが、労働組合の大前提になっています。あなたの経験は、あなた一人しかもっていない宝です。それをみんなで共有し、後から組合に入ってきた人に伝えることが、その後の活動や問題解決に生かされていきます。

(3)日ごろから心がけておくべきこと

 組合員であるかどうかを問わず、労働者として自分を守るために心がけておいた方がよい事があります。それはひいては、他の組合員に役立つ情報にもなります。
 ▼自分の労働時間(出勤・退勤時間)はメモし、また毎月の給与明細は保管しておいてください。後から残業代の不払いを請求したり社会保険に加入していたかどうかを確認したりする場合に必要になります。労働時間のメモは、自分の手帳に毎日付ける程度の簡単なもので構いません。
 ▼職場で何か変わった事があればメモしておいてください。会社から労働条件にかかわる通達が出た、上司からいつもとは違うおかしなことを言われた、などちょっとしたことでも、後から役立つことがあります。
 ▼よくわからないことに署名・捺印しないでください。会社は労働者に不利に条件を押し付ける際、往々にしてあまり説明をせずに、簡単な気持ちで署名・捺印して同意するように仕向けるものです。話がよくわからなかったり、示された文書の内容を読む時間が無かったりしたときには、書類を受け取るだけにとどめてください。
 ▼納得がいかないことを要求された時は、その場での返事を保留して、すぐに組合に相談してください。組合内でのこれまでの経験や法律の知識をふまえて、よりよい返事の仕方や拒否の仕方を考えることができます。
 ▼会社、他社、業界、社会の情報を集めるように心がけてください。同業の会社同士は互いに連絡を取りあって、労働条件や経営施策を合わせていることが少なくありません。そういう話を組合で共有すれば、他の組合員にも役立つ可能性があります。

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