UnionWorkshop
組合も経営を把握できる力を_奥田
10月3日の支援共闘会議に結成していって、あとは大きな動きとしては京都銀行とかいろんなところに申し入れして、…二日に一回ぐらい社長個人宅に申し入れ書を届けに行ったりしました。共闘会議ができてから公の行動をとるようになりました。
京都銀行の西大路支店というのが取引のメインバンクで、そこにも申し入れ書を届けました。
共闘会議のメンバーは、総評の人もいたり、ユニオンネットワークの人もいたり、かなり幅広い集まりで共闘会議ができたということが、一つにはこの運動では大きな成果だと思います。
債権者集会でも、組合しか発言しない。業者が来ていても管財人は「労働債権を優先しますから一般会計は全部払えません」と言っているので、業者の中に支払いを請求する人はほとんどいませんでした。陰では「こんちくしょう」と思っている人はいたのでしょう。やっぱり何千万と損害を受けている業者はあったはずです。紙屋にしろ、インク屋・下請けもそうだし、会社がつぶれたらいろんなところに迷惑をかけている。それは労働組合が迷惑をかけているのではなく経営者がみんなに迷惑を掛けているのです。この経営者は会社に対して全く愛着がないような対応をしている。自分でも団交の中で「梯子を落とされた」「俺も犠牲者だ」というニュアンスで言っています。この経営者は創業者ではない。やっぱり創業者だったらものすごく会社に対して重いものもあるし、働いているものに対して再雇用も真剣に考えると思います。しかしこの経営者は、再雇用の要求をしてもハローワークのパンフレットを持ってきただけです。ほんとに無責任極まりない経営者でした。……
経営者を徹底して追求していくというのは、運動の始まりであって、終わりでもあると思います。弁護士とかそういうものが解決するわけではないし、やった張本人は最後まで責任を持ってやる・逃げられないのです。争議をすると逃げられないという状況に追い込まれるし、逃げられない様に労働組合がやっていかなければならないのです。
僕等は高校出てすぐに働いているので、会社に対して愛着もあるし、「たかが7年前に来た経営者にそういう思いがわかるんか?」と、気持ちでは負けてはいません。
だから、職場占拠をやれたというのはそれだけ過去に実績があるからそれだけの運動をしてきたということがあると思います。それがなければなかなか持続はしなかったと思います。
当初、「会社再建」ということを考えた時もありました。機械を自分で動かして営業が自分で仕事をとってくる。しかし、営業というのは自分が仕事を持っているがためにすぐに逃げていけるというか、次の仕事がすぐに見つかるんです。うちでも1億ぐらいの仕事を持っていくわけで、受け入れる側は喜びます。1億円の売り上げが起こるから。なので営業マンのもともとの組合員はほとんどいませんでした。だから営業マンすぐに就職口を探します。残るのはほとんど現場の労働者です。つぶしがきかないというか、特に30代の労働者というのは、普通の企業はとらない。給料もある程度払わないといけないし、、、20代の若い人から就職が決まっていって、古い人は当然決まらないが、再就職となると30代40代がものすごくしんどい。
倒産=解雇=失業 という構図は必然的にでてきます。
だから、倒産はさせてはいけない。労働組合が倒産させたなんてほとんどない。闘ってよっぽど強い組合でもできません。それは経営権握っているのと、潰すという法的な力は経営者しかないからです。倒産させたら失業者が出る。失業者が出るということは労働者にとっては死活問題です。私は現役のころ基本給が32万円ぐらい、倒産後失業保険が19万、現在全印総連から8万円ぐらいの収入があります。なので倒産することにより、生活レベルがガラッと変わります。だから経済的にはかなりしんどいです。会社をつぶさないがために労働条件を下げることによってつぶれなくなるという保証はほとんどないと思います。私たちが経験したのは、倒産前に結構労働条件を下げてきました。下げていったけどつぶれてしまいました。
「労働条件下げたら競争力ついて、会社は何とかなるんちゃうか」というのは幻想ではないかと思います。ある意味でいえばそれを持たない方がいい。そうじゃなくて経営者のやり方が間違っているという、そういうつよい考え方というか、「お前のやり方が間違っている」と言える労働組合に変えていかないといけないと思う。
でないと経営者のやり方で、人件費を下げて行くということをやっていくと持ちません。4~5年はもつと思いますが、売上が下がってきたら基本的な力がなくなっていくということが、今回の倒産を経験してわかりました。
やっぱり強い組合の方がいいんです。経営者に文句を言える、自分等はこういう経営が正しいと思うといえる。でないと経営者が言っていることはとにかく人件費を減らして、運転資金とか銀行にうまいこと言ったりとか、そういうことしか考えていないし、そういうことはその場しのぎで数年しか持たない。最終的には倒産ということになる。
いま、いろんな職場で賃上げがないとかそういうことがやられている。それはもう時代の流れで仕方ないというのはあると思います。その時代の流れの中でも、経営に対してみる目を養うことがものすごく大事です。「そういう経営やっていたらあかんのちゃう?」と労働組合が言える。経営を把握できる力を持たなければいけないと思います。だからその辺を兼ね備えて労働組合が強くならないことには、とにかく労働条件を下げていくだけではたぶん展望が開かないと思います。